遊星からの物体X

南極大陸1982年冬。極寒の世界で科学調査を続けるアメリカ南極観測隊第4基地に突然の恐怖が襲いかかった!
発端は、ノルウェー隊が氷原踏査の過程で発見した巨大UFOの落下跡。推定10万年。だが厚い氷の下には、人類の及びもつかない宇宙からの生命が延々と息づいていたのだ。特定の姿を持たないその生命は、いともたやすく狙いをつけた人間や動物の体内に侵入し、細胞を同化してそのものになり切る。まさに“物体X”。不用意に掘り起こしたノルウェー隊はたちまち全滅の憂き目にあい、いま、その侵略コースはアメリカ基地へ―――。
絶体絶命の環境下で逃げ場を失い、死の恐怖に錯乱する12名の隊員たち。果してサバイバルできるのは、人類かエイリアンか―――!?

『遊星からの物体X』は1982年に公開されたSFホラー映画ですわ。1951年の『遊星よりの物体X』をリメイクした作品であり、物体と表現する他ないグロテスクなシンクロモンスターや閉鎖空間のなかで疑心暗鬼に囚われた人間たちの恐慌が描かれました。傑作SFと名高い本作だけど、上映当時は同時期に上映された『E.T.』の方が受けがよく、制作費すら回収出来なかったことは内緒ですわよ。

そんな訳で、『遊星からの物体X』です。冒頭、ノルウェー隊のヘリから逃げる“犬”が観測基地にたどり着いたことをきっかけにノルウェー基地が壊滅状態に陥っていたことが判明。やがて、その“犬”の正体が明らかになり、ノルウェー基地がどういった経緯で壊滅してしまったのか、何故を“犬”を執拗に射殺しようとしていたのかが観測基地で再現されていきますの。

グロテスクな化け物に取って代わられる恐怖がまざまざと描かれた緊迫感のある映画でしたわ。視聴者視点だと大体どんなクリーチャーなのか想像がつくので、犬に近寄る隊員をみると「そいつから離れろ!」と絶叫ものですし、生物学者であるブレアが発狂した心境も察しがついてしまいますの。クトゥルフ神話TRPGにおけるINT高めのキャラクターってこんな感じなのでしょうね。

グロテスク。でも知能と生命力は高いエイリアンに追い詰められていくのはホラー。ただまあ改めてみてみるとエイリアンはエイリアンで生きることに必死なだけだったようにも思えるし、正体バレしてパニクった結果の暴走と見えなくもなかったわね。まあ終盤での行動は殺意マシマシだったし、こんな連中との共存なんて無理なのでテッドブロイラーの如く丸焼きにするしかありませんけど。

ラストはよくて相打ちというビターな展開に。この基地でのエイリアン問題が解決したとしても、別の場所にエイリアンが潜入していない保証なんて何処にもありませんからね。どの道このふたりは凍死確定っぽいので、変に生き残っちゃうのも不幸なのかも……なんてモヤモヤした気持ちを抱えさせられる映画でしたわ。南極に足を運んだ人が周囲にいたら危険なので近寄らないようにしましょうね。